二度と会えないあの人に、もう一度だけ会えるとしたら…。
夕焼け列車の奇跡、あなたは信じますか?


物語の舞台は、静岡県浜松市北区細江町に実在する寸座駅。単線・短車両の天竜浜名湖鉄道の小さな駅は、浜名湖を見下ろす高台にあり絶好のロケーションだが、いつも人の気配はなく静寂に包まれている。電車が到着するのは1時間に1本程度。駅の端には、人ひとりが座れるくらいの「たまるベンチ」と呼ばれる不思議なベンチがある。快晴の日の夕方、オレンジ色に染まる空の下、そのベンチに腰掛け、もう二度と会えない故人との再会を願うと、やがて到着する「夕焼け列車」からその人が降りてくるという言い伝えがあるのだった。ただし、会えるのは一度だけ。それも、日の入りまでという…。

もう会えない、親友・恋人・父や母…切なくも温かい5つの「再会」の物語。
――奇跡のストーリーに、心の奥深くから熱い涙があふれ出す。